digitalのブログ

徒然なるままに。成すがままに。

小説 国営パチンコ店 23回転目

荒木承太郎はパチンコ店で初めて入場料金を取るシステムを採用していた。

125玉、25枚、500円のどれかで支払うシステムだ。


千台規模の店で延べ1,300人の入場者から500円の収益を得る事で、1日約60万円平均でホール運営費用をゲットしていた。


新台入替も2カ月に1回とし、経営のスリム化と安定感を出すことに成功していた。ハンマルの近くの店舗はいくら6号機でも設定6だけなら店は赤字である。入場料金はいい収益となり、ギリギリ利益が取れていた。

小説 国営パチンコ店 22回転目

荒木承太郎の買収したグループは絆桜グループとなり、パチンコ店経営だけではなく、農業、建築、介護、保育、

美容と他業種をも取り込む大企業となっていた。


ラスボスのハンマルは株式を公開しておらず、公開買付による取得はできない。となるとぶっ倒しに行くしかないと判断した荒木承太郎は、ハンマルの店舗に1番近い店と2番目に近い店を

パチンコ、パチスロ全台6に設定し、

毎日据え置きにした。


それ以外の店舗はほとんど他業種の店舗に変えていったが、1番大きな収入源となるのがなかった。ただ、児童放課後デイサービスで児童を預かっている場所に宅配サービスの商品受け取り場所を構えたり、近くの美容室やネイルサロン、エステなどとも連携して主婦層をも取り込むようにしていた。


農業地域、漁業地域のパチンコ店も潰す事なく遊べる場所を提供し、なおかつ地域交流の深められる場所を提供していた。


高齢者が増え空き家が増える。

その場所に住みたい人がいれば仲介利益をとらずに提供する。

それでも埋まらないなら更地にし、緑豊かな地球に還す運動もしていた。


企業全体のバランスをとりながら利益を取るのではなく、利益を回し循環させる方法でハンマルを包囲していった。


続く。

小説 国営パチンコ店 21回転目

鬼木は苛立ちを隠し、家路を急いで帰っていた。

「出向先の利益とか、縄張りとか何処までもうっとしい。日本の文化を税収に出来て何が悪い。」

そう考えながら趣味の蕎麦打ちをしていた。しかし、そんな気持ちで打った蕎麦が美味しい訳がなかった。


鬼木慶次という男は日本文化を愛し、

その文化の発展、派生、新しい文化の理解を求めて官僚になったのだが、

同じ日本人官僚で醜い縄張り意識などが非常に邪魔だと感じていた。


全ての上級官僚を外部からの無償顧問にして天下り先など無くし、天上がり方式にしたらいいとぶっ飛んだ考えまでに至っていた。


見識のある人間を上に上げる為に団体、企業、業界のベクトルを向けさせる。社長ではなく上級官僚になりたい人間を各業界で育てる方式である。


「結局はまた競走、縄張り、足の引っ張り合いにしかならないか。」


続く。