小説 国営パチンコ店 21回転目
鬼木は苛立ちを隠し、家路を急いで帰っていた。
「出向先の利益とか、縄張りとか何処までもうっとしい。日本の文化を税収に出来て何が悪い。」
そう考えながら趣味の蕎麦打ちをしていた。しかし、そんな気持ちで打った蕎麦が美味しい訳がなかった。
鬼木慶次という男は日本文化を愛し、
その文化の発展、派生、新しい文化の理解を求めて官僚になったのだが、
同じ日本人官僚で醜い縄張り意識などが非常に邪魔だと感じていた。
全ての上級官僚を外部からの無償顧問にして天下り先など無くし、天上がり方式にしたらいいとぶっ飛んだ考えまでに至っていた。
見識のある人間を上に上げる為に団体、企業、業界のベクトルを向けさせる。社長ではなく上級官僚になりたい人間を各業界で育てる方式である。
「結局はまた競走、縄張り、足の引っ張り合いにしかならないか。」
続く。
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